冷酷な処刑人に一目で恋をして、殺されたはずなのに何故か時戻りしたけど、どうしても彼にまた会いたいと願った私を待つ終幕。

「いいえ。ヒロインが入学すれば、強制的に乙女ゲームのイベントが進んでいく。貴女は冤罪だと言っていましたが、あのヒロイン……ルイーゼ・ローランスは、婚約者のリチャードと懇意になっているのにも関わらず、なかなか自分を虐めて来ない貴女に痺れを切らして、既に惚れている攻略対象者にやらせたんです」

「待って。私がしたとされている彼女への嫌がらせは、冤罪だって……貴方は知ってたの? だったら!」

 なぜあの時、殺す前に無実を証明してくれたら良かったのにと続けようとした私に、彼は首を横に振った。

「一度始まってしまったゲームの強制力は、凄くて……俺が、安易に想像していた以上のものでした。そして、俺がどうにか貴女を救おうとした時には、ヒロインのルイーゼは順調にイベントを進めていた。貴女を助けるために。俺にはもうああするしか、なかったんです。生きている間に、時を戻す剣を使って貴女を殺せば時は巻き戻る。そうすれば、ゲームが開始する前であれば、なんとかなるかもしれないと……」