冷酷な処刑人に一目で恋をして、殺されたはずなのに何故か時戻りしたけど、どうしても彼にまた会いたいと願った私を待つ終幕。

「貴方……ユーウェイン?」

 震える声で問い掛けた私に、彼は小さく溜め息をついた。

「あれが、最後の……逃げるチャンスでした。前世の記憶を持っていた、俺にも気が付いた時には手遅れだった。牢に入れられれば処刑台で断罪されてしまうはずの貴女を、どうにかして救うためには……ああする以外の方法が見つからなくて」

 彼が淡々と語る内容は、良く理解が出来ない。前世の記憶を、持っていた?

「待って……何を、言っているの?」

「貴女は本当に……美しい。すべてを身に付けている、悪役令嬢。けど、俺は幼い頃からリチャードの影として、常にあいつを警護するために共に動き、傍で笑う婚約者の貴女を見ていて、いつの間にか好きになっていました」

「悪役令嬢……?」

 確かに私は令嬢ではあるけど、悪役なんて酷い言いざまだと思った。

 けれど、前の生でもルイーズ嬢を虐めたことなど一回もなかったけれど、世間的にはいつの間にか、そういう事になっていたと思う。