冷酷な処刑人に一目で恋をして、殺されたはずなのに何故か時戻りしたけど、どうしても彼にまた会いたいと願った私を待つ終幕。

 リチャードは結婚式でようやくエンディングを迎えたことにより、乙女ゲームのヒロイン役の女の魅了が解けてしまったのだろう。

 だが、諸外国の重鎮を呼び盛大に結婚式をあげて、法的にも結ばれてしまった。世継ぎの問題もあって、王家に離婚は許されていない。

 ここまで来てしまえば、愛があろうがなかろうが。仮面夫婦になろうが、あの女と共に重圧のある王族としての責務を果たすしかない。

 政治的な後ろ盾のない男爵令嬢など、運命的な激しい愛情を失ってしまえば……何の価値も、持たないだろう。もうすぐ王位を手に入れるはずの男が行く先は、想像を絶する茨の道だ。

 公爵家で生まれ育ったセシルであれば、妃としての教育や礼儀作法も申し分ない。そしてなにより、川を泳ぐ魚のように、貴族としての人間関係も上手くやっただろうが。

 もう。何もかもが、手遅れだ。

 セシルを救うために使った時戻りの剣は、実は隠しヒーローである俺の攻略イベントに必要な重要アイテムだった。