冷酷な処刑人に一目で恋をして、殺されたはずなのに何故か時戻りしたけど、どうしても彼にまた会いたいと願った私を待つ終幕。

 だが、好感度が元々高い正ヒーローとは重要な選択しさえ間違わなければ支障はない。イレギュラーはあったとしても、ここまでヒロインはエンディングまで辿り着けた訳だ。

 楽しかったはずの恋愛イベントを起こせなかったヒロインは、あまり満足出来なかったかもしれない。それもこれも。セシルを手に入れた俺にとっては、どうでも良い事だが。

 花婿用の豪華な衣装を着用し、パッケージに一番大きく描かれるメインヴィジョアルの王太子リチャード・ヴァイスキルヘンは、顔を大きく歪ませていた。彼を待っていた俺を、鋭く睨み付けた。

「ユーウェイン。お前。知っていたな?」

 慌てて彼に付いて走って来た何人かの護衛は、同じく荒い息をして立ち止まった。儀礼用の重い鎧を着ているのに、大変だったことだろう。

「何のことですか?」

「僕があの女に……ルイーゼに、何か操られるような術を掛けられていたことだ」

「さぁ。どうでしょうか」

 素知らぬ顔をして肩を竦めた俺に対し、リチャードは悔しそうにして、ますます顔を歪める。俺は過去の自分の立てていた仮説に、これで確信を得た。