悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました【2】



 笑顔のまま「きっと大丈夫だよ。あの強面最恐陛下、エスターちゃん以外に優先することなんてないんだから」と励まされる。

 やっぱり、私ひとりで悩んでいたってしょうがないのかも。一緒にいられるだけで奇跡みたいなものなんだから、多くを望みすぎてはいけないわ。

 求愛行動がないのがさみしいです、だなんて恥ずかしくて口にできないもの。

 その日の夜、王都の城に戻るとラシルヴィスト様は先に帰って来ていた。

 シャツに薄手のガウンを羽織り、大きなソファに腰掛けてこちらを見ている。


「ラシルヴィスト様、おかえりなさい」

「ああ。エスターは、今日は古城に行っていたのか?」

「はい。皆さんお元気そうでした」


 隣に座って他愛のない話を続けているうちに、時計の針が進んでいく。

 肩にたくましい腕がまわされて、視線が交わった。

 そのとき、長い指が私の髪を耳にかけて、そのまま髪を解いて一房もてあそぶようになでられる。