悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました【2】



 妹の後ろから装飾品の並べられた机を覗き込んだ双子に、ラミュリは顔を上げた。


「シルヴァン兄さまには、このピアスが似合うと思う」

「ありがとう。じゃあつけてみようかな」

「ヴォレンス兄さまは、この指輪」

「ふうん。そうか?」


 双子の王子達はさほど宝石に興味がない様子だが、妹にテキパキと装飾品をかざされて、素直に受け取る。

 胸元くらいの高さからふたりの兄を見上げるラミュリは、ちゃんと家族でお揃いのエメラルド色の装飾品を選んだようだ。

 ラシルヴィストの手にも、ちゃっかり同じ色の宝石のチャームがついたチョーカーを渡していた。

 炭鉱町の人々と一緒に和気あいあいと過ごす様子は、民と近い距離感で親しみやすさを感じさせるものだった。

 その中にも容姿と立ち振る舞いに王族としてのオーラがあり、炭鉱町は獣の一族の来訪に沸きたっている。

 末っ子の姫が選んだお揃いの装飾品を身につけた一家は、満足げにお互いを見た。


「これで、儀式の準備はばっちりね」