妹の後ろから装飾品の並べられた机を覗き込んだ双子に、ラミュリは顔を上げた。
「シルヴァン兄さまには、このピアスが似合うと思う」
「ありがとう。じゃあつけてみようかな」
「ヴォレンス兄さまは、この指輪」
「ふうん。そうか?」
双子の王子達はさほど宝石に興味がない様子だが、妹にテキパキと装飾品をかざされて、素直に受け取る。
胸元くらいの高さからふたりの兄を見上げるラミュリは、ちゃんと家族でお揃いのエメラルド色の装飾品を選んだようだ。
ラシルヴィストの手にも、ちゃっかり同じ色の宝石のチャームがついたチョーカーを渡していた。
炭鉱町の人々と一緒に和気あいあいと過ごす様子は、民と近い距離感で親しみやすさを感じさせるものだった。
その中にも容姿と立ち振る舞いに王族としてのオーラがあり、炭鉱町は獣の一族の来訪に沸きたっている。
末っ子の姫が選んだお揃いの装飾品を身につけた一家は、満足げにお互いを見た。
「これで、儀式の準備はばっちりね」


