悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました【2】


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 バロッグさんに言われるがまま炭鉱町に戻ると、賑やかな商人のテントが並ぶ市場で人だかりが見えた。

 その中心にあったのは、店番の女性とふたつのシルエットである。


「エスター様。そちらのエメラルド色の首飾り、とてもよくお似合いです」

「ありがとう。空にかざすと光が透けて綺麗ですね。これをいただこうかしら」


 薄い布地のベールをかぶりキラキラと輝く首飾りを試着している女性は、エスターだ。

 穏やかに店主と話す彼女の隣では、背丈が百四十センチほどの銀髪の少女が、無言ながらも興味津々な様子でアクセサリーを見つめている。


「母さん!? ラミュリ!?」


 ヴォレンスが目を見開いてふたりを呼ぶと、鉱山から戻った三人に気がついたエスターは表情を明るくさせた。


「ああ、よかった。レンテオさんが向かったときはどうなることかと心配したけど、試練は無事に終わったのね」

「終わりました、けど……どうしてここにいるんです? 家族旅行のつもりじゃありませんよね?」