悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました【2】



 本来は仕組まれたトラブルを解決して試練が終了するはずだったが、本物の悪党が乗り込んできたせいでややこしい事態に発展してしまったらしい。

 町長のバロッグはラシルヴィストの前にかしづき、深々と頭を下げた。


「陛下、この度はとんだ失態を……申し訳ございません」

「息子が遅くなってすまないな。怪我に効く薬草を後で届けよう」


 その会話を眺めていたシルヴァンが腕を組んで尋ねる。


「この町が代々試練の場として王族と協力関係にあるのは理解できました。でも、バロッグさん側にメリットはあるんですか? 町中が仕掛け人のドッキリを企画するのはそれなりの労力が必要だと思いますが……」


 王都からちょうどよく離れた地域にあり、試練の場として都合が良いのは察することができた。

 ただ、大型のドッキリを楽しんでいるにしては手がこみすぎているし、王族の武力行使でこてんぱんにやられる悪役はデメリットしかないように感じられたのだ。

 町中がノリノリなところをみると、王から協力を命令されてしたがっているだけというわけでもなさそうである。

 すると、バロッグは満面の笑みを浮かべてうなずいた。


「メリットですか? おおいにありますよ! 炭鉱町に戻ればすぐにわかるはずです」