武器を構えた男達に周囲を取り囲まれ、シルヴァンが腰の剣を抜いた。耳と尻尾を出して戦闘モードに入ったヴォレンスも弟に続いて剣を抜く。
勝負は一瞬だ。
年下の子どもだと甘くみていた男達は、人数の差もあり油断していた。
身軽で無駄な動きがないシルヴァンが敵の剣を弾き、一振りが重く素早いヴォレンスがトドメの一撃を与えていく。
こんなにあっけない逆転劇があるだろうかと言わんばかりの息のあった戦闘に、男達は手も足も出ず地面に沈んだ。
「み、見逃してくれ。宝は全部返す」
最初とは別人なほど弱々しくなった黒髭のボスは、腰を抜かして座り込みながら懇願するが、双子は青い瞳を鋭く光らせて答えた。
「「諦めろ。獣は獲物を逃がさない」」
喉の奥から「ひっ!」と恐怖の呼吸をしたボスに、低い唸り声が突き刺さる。
本来、敵だと思っていたバロッグさんを縛っていた縄を解いて盗賊のボスを縛りあげたところで、背後からこちらに迫る足音が聞こえてきた。
洞窟内に現れたのは、つやつやとした黒髪の騎士とその部下達だ。


