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 数十分後、ドミニコラだけではなく、双子の王子も揃って父に呼び出された。玉座に腰掛けて悠々と客人を見下ろすシルエットは、ラシルヴィストである。

 感情の読めない涼しげな眼差しは、なぜこの場に呼ばれたのか理解出来ない双子にとって、ひどく緊張を高めるものだ。


「俺たちまで集めるなんて、一体なんの用件でしょうか?」


 ヴォレンスが眉を寄せながら尋ねたとき、ラシルヴィストは表情ひとつ変えずに答える。


「ついて来い」


 言われるがまま案内されたのは、王都の近くの町だ。そこから北に進むと広い森がある。

 以前は野生の獣がうろついていたようだが、ラシルヴィストの指揮により、現在は安全な森へと変わっていた。

 双子は父とドミニコラの後に続いて、豊かな自然を眺めながら進む。

 数十分歩くと、目の前に草原が見えた。あまり見かけたことのないトゲトゲした葉の植物が自生している。

 シルヴァンは目を輝かせて兄に耳打ちをした。