相当強く締め付けられているらしく、子どもの力ではどうしようもできなかった。
そのとき、ヴォレンスが勢いよく男性に向かって駆けて、思い切り跳躍して腕に噛みついた。
「ぎゃあっ」
痛みに顔を歪めてシルヴァンを落とした男性に、ヴォレンスは追い討ちをかけるようにそのまま顔を引っかいた。
俊敏な身のこなしで弟を救出したまでは良かったが、すぐに男性に尻尾を掴まれて投げ飛ばされる。
飛ばされたヴォレンスは、受け身も取れずに地面へ落ちた。体が打ち付けられたときに「きゃいん」と弱い鳴き声が聞こえ、シルヴァンは青ざめて急いで駆け寄る。
兄の様子をうかがうと、ヴォレンスは地面に落ちた衝撃ですぐには体を起こせないようだった。
「くそ、このガキが……! よくもやってくれたな」
まさに絶体絶命。戦う術は何もない非力な双子は、お互いに抱きしめあって目を強くつぶる。
「ぐあっ!」


