よろよろと歩く男性にシルヴァンは眉を寄せた。
そのとき、双子に気づいた男性が目の色を変える。
「ついてる! 獣人のガキだ……! これで俺はあの草を買える!」
瞬時に本能で身の危険を察して、背を向けて駆けだす。しかし、男性も異様な執着を見せ、ものすごい速さで追って来た。
おぼつかない足元で、途中で木の根っこにつまずいて転んでも、ズボンが破けて血が出ても気にならないようだ。
「な、なんだあのおじさん!」
「ぼくたちをつかまえるつもりだよ!」
次の瞬間、シルヴァンが石につまずいて地面に倒れ込んだ。
立ち止まって振り返るヴォレンスの視界に、男性に抱きかかえられる弟の姿が映る。
「ふはは、これは上物だ。奴隷としてこきつかってもいいし毛皮も高く売れるぞ。ほら、完全な獣の姿になってみろ」
恐怖で声も出せないシルヴァンは、抵抗しようとしても腕から抜け出せない。


