続いて、古城の中へ入って廊下を進んだ。
アンティークの調度品が並ぶ部屋はどこも綺麗で心惹かれる。
「わぷっ!」
ふたりして夢中になって廊下を走っていたとき、曲がり角の向こうで大きなシルエットとぶつかった。
反動で尻もちをつくと、頭上から明るい声が降る。
「あらぁ! 王子達も来ていたのね! まあまあ、子どもの頃のラヴィスにそっくり! 可愛いわねぇ」
それはメイド長のボナであった。
しかし、初対面の声も体格も大きい彼女に、ふたりは尻尾を逆立てて震える。
ぴゅいっと元来た道を戻り、急いで近くの部屋へ逃げ込んだ。胸に手を当てて顔を見合わせる彼らの表情には恐怖の色が宿っている。
「びっくりした……! びっくりした……!!」
「しずかにヴォレンス。みつかったら、たべられちゃうよ……!」
シルヴァンの言葉を聞いたヴォレンスは、不安げな瞳で耳を伏せた。
慌てて部屋の奥へと逃げようとして、床に敷いてあったカーペットに足を滑らせる。
「うわっ!」


