悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました【2】

**


「シルヴァン、ひまだねぇ」

「しかたないよ。おとうさまのしごとがおわるまで、まっていなくちゃ」


 芝生に仰向けに寝っ転がって愚痴をこぼすヴォレンスは、やんちゃで素直な性格であった。

 子どもながら聞き分けが良く落ち着きのあるシルヴァンは、まんまるな瞳で庭に咲く花を眺めている。

 穏やかな日差しが降り注ぐ午後、ヴォレンスは目を細めて弟を見た。


「ねぇ、たんけんしようよ」

「たんけん?」

「このふるいしろには、はじめてくるだろ? じっとしていてもつまんないし」


 好奇心に満ちた提案にシルヴァンも興味が湧いた。めったに王都から出ない彼らにとって、未知の世界はワクワクとドキドキに溢れているのだ。

 手始めに庭から出て植物園へと向かう。

 ガラス張りのドーム状の建物は物珍しく、あらゆる植物が生えたそこは探険にふさわしいフィールドに思えた。

 こっそりログハウスの中をのぞくと、白衣を着たドミニコラが実験器具と睨めっこをしている。

 あやしげな錬金釜に興味津々だったが、仕事の邪魔をしたら怒られそうだ。