たしかに早急に取り掛からなければならない課題だ。

 古城でリマイナ草の解毒薬でも作ってみるか? なにかしら役に立つかもしれない。

 すると、こちらの考えを察したのか、主は胸元のポケットから透明な袋を差し出した。

 中には細かく刻まれた植物片が入っている。


「サンプルはここにある。後は任せたぞ」

「お預かりします。主はこの後どちらへ?」

「しばらく古城の書庫で過去の資料を調べるつもりだ。ブルトーワ国の不届き者にレドウ草を持ち出されたこともあったからな。貿易に関する記録で怪しいルートがないか探る」


 そのまま颯爽とマントを翻して去っていこうとする彼を思わず呼び止めた。


「あの、主」

「なんだ」


 平然とした顔で振り返られる。

 聞いてもいいだろうか。彼から説明があると思っていたけれど、つっこまなければ一言もなしに立ち去られそうだ。


「主。ずっと気になっていたのですが、背中と太ももにそれぞれしがみついている白い毛玉は……」