甘いキスだけでは終わらないことを知っている。
私のして欲しいことを叶えるだけじゃなく、彼も同じくらい欲しがっているのだ。
余裕を見せる彼が耳と尻尾を出した後、少しだけ首を傾けて自らの口をぱっと軽く開いた。艶やかな舌と牙の先がのぞく。
なにも考えずに〝あーん〟と真似をすると、そのまま噛みつくようにキスをされる。
後頭部を支える手は優しくて、髪の隙間に指が差し込まれた。
半分獣に戻った彼の舌は柔らかいながらもザリザリしていて、上顎を舐められると体が震える。
まずい。いつものスキンシップではなく、息の仕方がわからなくなる深いキスだ。夢中になっている間にどろどろに溶かされて身を委ねるしかなくなる。
自然とベッドまで運ばれて、服から覗く二の腕や鎖骨に甘噛みされていくが、私の肌には決して傷をつけなかった。
ガウンを脱ぎシャツのボタンを外した彼の鍛えられた体はいつ見ても慣れない。
「もう充分ですっ」
「噛まれたかったんだろ?」
「ち、ちが……」


