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《ラシルヴィスト視点》
『ん……、はぁ……』
小さな息づかいを耳が拾う。
ふたりでベッドに沈んで触れ合っているうちに、つい尻尾と耳が出てしまった。
どんな呼吸も声も聞き逃したくはない。
俺の首に抱きついているエスターは、きっと酔いに溺れて明日には記憶がないだろう。普段、こんなに理性を飛ばすことはなかった。
王都に来てから慣れない環境で疲れも溜まっているだろうし、ゆっくり休ませてやりたい気持ちもある。
かといって、こんなに可愛らしい彼女を目の前にして我慢していられるほど、しつけはなっていない。
細く白い首筋にそっと牙を立てる。
何度も角度を変えて甘噛みして、好物にそそられながら舌をはわせた。
すると、彼女は俺の肩から顔を上げてまっすぐこちらを見つめる。眉は怒ったようにキュッと寄っていたが、まるで怖くはなかった。
『どうした? 気分が悪くなったか?』
体調を気遣って言った後、返事はすぐにきた。
むっとした表情のまま、頬を赤く染めている。
『首を噛んでも、キスもして……!』
可愛さのあまりタガがはずれかけた。なんとも無茶な願いだ。首を噛んでいてはキスができない。
熱を帯びた瞳のまま至近距離で見つめ返す。
『……キスがいいか?』
こくんと頷かれ、すっかり甘えモードだ。唇を重ねると嬉しそうに笑う。
この無自覚子兎、俺をどれだけ煽ったら気が済むんだ?
《ラシルヴィスト視点・終》


