って、浮かれるのはまだ早い。


「……その前に、家庭訪問か」


このあと、夜明は鈴ちゃんの家に行くんだった。


寮に入るから引っ越しが必要だし、何よりひと言言ってやらないと気が済まないんだろう。


「鈴蘭は、置いていきたい」


え?


「もうあの家には帰したくない」


「荷物の件もありますし、挨拶の際に当人がいないというのは……」


夜明の気持ちもわかるけど、竜牙くんの言う通り。


「俺ひとりで十分だ。あんな家族に鈴蘭が挨拶をする義理もないだろ」


「最後にちゃんと、家ともお別れさせてあげれば? 変に心残りになるかもしれないしさ……心配なのはわかるけど、夜明が守ってあげればいいでしょ?」


「…………」


納得してくれたのか、夜明はそれ以上何も言わなかった。