『ち、違うよっ……!』


あの時、嘘をついてたとは思えなかった。


だったら、この状況はなんだっていうのよ……。


黒闇神様の、ただのひと目惚れ?


あの極度の女嫌いで……生涯婚約はしないって宣言していた人が……?


あり得ない展開に、頭の中が混乱していた。


何動揺してるのよ、あたし……。


ぼうっと見てる場合じゃないわ。


「黒闇神様……!」


あたしは高い声でその名前を呼んで、立ち上がった。


そこにいるべきはあたし。


鈴蘭が黒闇神様の婚約者になるなんて……絶対に許さない……!


てっきり、黒闇神様は完全に人間がダメなんだと思っていたけど……鈴蘭に婚約を申し込むってことは、可能性はあるってことよね。