魔王子さま、ご執心!②~最強王子と、 甘すぎる溺愛婚約生活が始まる~

獅堂さん、本当にいい人だなぁ……。


体操シューズや、まだ新しい教科書など、ひとりでは持ちきれなさそうだったから、すごく助かる。


「荷物はこれで全部か?」


「はいっ……」


「鈴ちゃん、そのペンケース何?」


獅堂さんの表情が、心なしかいつもよりも陰っているように見えた。


何っていうのは、どういうことだろう……?


普通の筆箱だと思うけど……。


「いつから使ってるの?」


「入学してからです。妹がくれて……」


「……あー、あの時の記憶のか」


あの時の記憶?


「そんなボロボロのペンケースをくれるなんて、優しい妹だね~……」


獅堂さんが、笑顔を浮かべながら星蘭のほうを見た。


まるで、私の妹が星蘭だって知っているかのような行動。