魔王子さま、ご執心!②~最強王子と、 甘すぎる溺愛婚約生活が始まる~

「……俺、別に健気さにグッとくるタイプではなかったんだけど……」


え? 今、なんて……。


視線を向けた時、獅堂さんが苦笑いを浮かべていることに気づいた。


「ちょっと、この程度で嫉妬しないでってば」


「黙れ」


「ふたりとも、鈴蘭さんが戸惑ってますよ」


獅堂さんが軽く流しても、隅で怖い顔をしている夜明さん。そんなふたりを、司空さんがなだめている。


賑やかな、ラウンジの空気。


戸惑うことばかりなのに、なぜかとても居心地のよさを感じて、皆さんの会話を聞いていた。





少ししてから、夜明さんが私の手を握った。


「鈴蘭、そろそろ行こう」


ブラン学級にという意味だとわかり、体が強張る。


「は、はい」