魔王子さま、ご執心!②~最強王子と、 甘すぎる溺愛婚約生活が始まる~

「鈴蘭様」


離れた場所に立っていた……司空さんと呼ばれていた方が、私の名前を呼んだ。


「はじめまして、司空竜牙と申します。夜明の従者です」


大講堂での挨拶で、副級長だとは知っていたけれど、夜明さんの従者まで務めているなんて知らなかった。


私も「はじめまして」と、慌てて頭を下げる。


「何かあれば、いつでも頼ってください。夜明と鈴蘭様のことは、わたしくしがお守りします」


初対面の私に、そんなふうに言ってくれるなんて……。


入学式で、優しそうな方だと感じたけれど、想像以上にいい人だと思った。


「ほら、雪兎も自己紹介して」


獅堂さんに背中を押されて前に出たのは、マスクをしたおとなしそうな男の子。


「……冷然雪兎」