魔王子さま、ご執心!②~最強王子と、 甘すぎる溺愛婚約生活が始まる~

俺を見る目は、大きく見開かれている。


「なんだよ、名前で呼んでもいいだろ」


そこまで驚かれると、こっちが恥ずかしくなった。


双葉って呼び方だったら……あの胸糞悪い妹を思い出す。


だから、下の名前でいいだろ。


俺は消しゴムを、鈴蘭の机の上に置いた。


「……俺のことも雪兎って呼べ。名字で呼ばれんの、好きじゃないし」


自分の家を恨んでいるから、呼ばれるのが好きじゃないっていうのは本当だけど……それ以上に、こいつには名前で呼ばれたいと思った。





休み時間になり、席を立つ。


「水買いに行くけど、ひとりでいるか?」


隣の鈴蘭にそう聞けば、悩むような仕草をしたあと、不安そうに俺を見た。


「ついていってもいいですか?」