魔王子さま、ご執心!②~最強王子と、 甘すぎる溺愛婚約生活が始まる~

別に罪滅ぼしにもならないけど……夜明さんたちがいない時は、俺が必ずこいつを守る。


忌々しいこの冷然の名前を盾にしたっていい。


こいつのこの気が抜けるような笑顔は、俺が守る。


双葉の机から、消しゴムが落ちた。


もう角も残っていないちっさい消しゴムだったからか、音もなく落ちたそれ。


本人は授業に集中しすぎているのか、落ちたことにも気づいていない。


俺はため息をついて、それを拾った。


「おい」


こいつの集中力は凄まじいのか、俺の呼び声も届いていないようで、教卓で説明している教師をただじっと見つめている。


もう一度ため息をついて、名前を呼んだ。


「鈴蘭」


「……え?」


やっと気づいたのか、びくっと肩を震わせてこっちを見た双葉……鈴蘭。