それに、俺はお前にそんな笑顔を向けられる資格はない。
こいつの調査書を見たとき、夜明さんを騙している最低な女だって決めつけて、秘密裏にこいつを学園から追放してやろうとさえ企んだんだ。
それなのに……。
「冷然さんがいてくれて……すごくすごく助かりました」
気を許しきっている笑顔に、心臓がひどく痛んだ。
「……もういいから黙れ」
突き放すような言い方になったのに、少しも嫌な顔をせずに黒板に視線を戻した双葉。
まるで、俺の悪態の理由もわかっているみたいな態度。
あれだけ劣悪な環境で育ったくせに……こいつは人を疑うことを知らないのか……?
お人好しを通り越して、バカだろ……。
こんなバカで――純粋な人間を見たのは、初めてだった。
こいつの調査書を見たとき、夜明さんを騙している最低な女だって決めつけて、秘密裏にこいつを学園から追放してやろうとさえ企んだんだ。
それなのに……。
「冷然さんがいてくれて……すごくすごく助かりました」
気を許しきっている笑顔に、心臓がひどく痛んだ。
「……もういいから黙れ」
突き放すような言い方になったのに、少しも嫌な顔をせずに黒板に視線を戻した双葉。
まるで、俺の悪態の理由もわかっているみたいな態度。
あれだけ劣悪な環境で育ったくせに……こいつは人を疑うことを知らないのか……?
お人好しを通り越して、バカだろ……。
こんなバカで――純粋な人間を見たのは、初めてだった。

