魔王子さま、ご執心!②~最強王子と、 甘すぎる溺愛婚約生活が始まる~

双葉は嬉しそうに、目尻を下げ頬を緩めている。


「ありがとうございます」


ただ教科書のページを指し示しただけで、こんな顔いっぱいに笑みを浮かべるこいつが、呆れを通り越して心配になった。


さっきの会話があったからか……完全に俺に気を許している。


たったあれだけで人を信用して……お人好しにもほどがあるだろ。


懐かれるのは嫌な気はしないけど……いや、でもこのままじゃダメだ。簡単に人に騙されそう。


今だって……。


「冷然さんは優しいですね」


嬉しそうに微笑むこいつに、息が詰まった。


「お前の優しいの基準が低いだけだろ」


俺が優しいなんていう奴、こいつくらいだ。


ていうか、優しいとか初めて言われた……。