【side 雪兎】


俺はずっと、自分の生い立ちを恨んでいた。


俺は能力量は高いものの、俺の能力には圧倒的な“致命的な欠陥”があった。


そのせいで、冷然家のできそこないと言われ続け、家族からも腫れ物に触るように扱われていた。


俺は不幸なんだって、ずっと思っていたけど……双葉鈴蘭の記憶を見た時、自分の置かれた環境は、比較的幸せなほうだったのかもしれないと思った。


同情するのが失礼だと思うほど、双葉の置かれた環境は最悪だったから。


夜明さんや祖父や、周りに頼れる人間がいた俺はまだましなほうなんだって……初めてそのことに気づかされたんだ。


そしてこいつを……救ってやりたいなんて、おこがましいことを思った。





移動教室から戻ってきて、席に着く。


さっきの授業中も思ってたけど……クラスメイトの視線が鬱陶しい。