夜明さんに抱きしめられてから時間が経つにつれ、ふつふつと恥ずかしさが込み上げてきた。


私は恋愛経験なんてほとんどないようなものだから、こんなふうに誰かと身を寄せ合うことに慣れていないし、改めて考えるととんでもない状況だ。


恥ずかしくて顔が熱い。だけど……夜明さんの腕の中、すごく安心する……。


できることなら、ずっとこのままでいたいなんて願ってしまうほど……。


ゆっくりと、夜明さんの腕がほどけていく。


名残惜しさを感じながら、顔を上げて夜明さんを見た。


「これからは……ずっと俺のそばにいてくれ」


まるでお願いするような言い方に、胸がきゅっと締めつけられた。


もう、これからはひとりぼっちではないと思うと、安心してまた涙が溢れそうになる。


あんまり泣くと、鬱陶しいと思われてしまいそうだから、なんとかこらえた。


「……ああ、そうだ。早々に悪いが、数日間は忙しくなる」


「え?」


「式でも話したが、鈴蘭は明日からノワール学級に転級してもらう。今日中に荷物をまとめて移動してもらう必要がある」


そういえば、そんなことを言っていたような……。


ノワールに転級するのは、私にとっては嬉しい。夜明さんと同じ学級になれるなんて、すごく楽しそうだから。


それに……ブランにはいづらかったから……。


「それと、今日から入寮してもらうことになった」


「入寮?」