そして、今日からはノワール生としての生活が始まる。


不安もあるけど……それよりも、新しい生活への期待のほうが大きい。


私は……本当に、夜明さんの婚約者になったんだ。


夜明さんの顔に泥を塗らないないよう……一生懸命頑張ろう。





ベッドから立ち上がって、部屋を出る。


「おはようございます、鈴蘭様」


「わっ……!」


まだ他人の家という感覚が強くて、ゆっくりと扉を閉めていた時、背後から重なったふたつの声が聞こえた。


思わず、間抜けな声が出てしまう。


「さ、左藤さん、右藤さん……おはようございます」


びっくりした……もしかして、私が起きるまでずっとここで待ってくれていたのかな……。


ふたりに案内されるまま洗面室に行き、顔を洗う。