そう思った時、端末の画面が光った。


誰だ……って、母親か。


電源ボタンを押して、電話を無視する。


出ても、どうせ早く婚約者を連れてこいだのと急かされるに決まっている。


鈴蘭が寮と学級の新しい生活に慣れるまでは、両親に会わせるつもりはない。


ただでさえ無理をさせているんだ……。


これからは、すべて鈴蘭のペースで進めていくと決めていた。


鈴蘭が早く本当の意味でのおだやかな日常をおくれるように……できることはなんでもしよう。


これからは、そばで鈴蘭を見守ることができる。


そう思うだけで幸福に包まれた。