嫌いなものは特になさそうだったが、辛味と苦味は得意ではないらしい。


酸味の強いものも……酸っぱそうに口をすぼめている鈴蘭は可愛かったが……。


「夜明様、提案があるのですが、明日からは料理を並べるのではなく、コース式にいたしましょうか?」


シェフの発言に、ほかの使用人たちも頷いていた。


「鈴蘭様は残った料理が気になっていたようですし……」


まあ、そうだな……。


好きなものを好きなように選ばせてやろうと思ったが、悲しそうにしていた鈴蘭の表情が脳裏に残っていた。


鈴蘭に気を使わせないためにも、今回は提案に従おう。


「頼む」


鈴蘭にとって、ここを何よりも居心地のよい場所にしたい。


俺の隣で……幸せを感じてほしい。


俺も、今日は寝よう……。