魔王子さま、ご執心!②~最強王子と、 甘すぎる溺愛婚約生活が始まる~

そう思ったけど、夜明さんは真剣な表情のまま私から目を逸らさない。


「今は俺に恋愛感情がなくてもかまわない」


「…………」


「お前がそばにいてくれるなら、それでいい」


そんな……。


この人は、みんなの羨望の的で、たくさんの人に愛されているはず。


私なんて選ばなくても、より取り見取りなはずなのに。


「俺にお前を守らせてくれ」


思わず、涙が溢れそうになった。


ぐっと堪えるように、下唇を噛みしめる。


誰かが自分のことを守ってくれるなんて、考えてもみなかった。


こんなの……ダメ。


こんな曖昧な状態で、夜明さんに甘えたくない。


夜明さんのことは大好きだけど、ここで受け入れるのは間違ってる。


「お前がまだ、あいつを忘れられないのはわかっている」