魔王子さま、ご執心!②~最強王子と、 甘すぎる溺愛婚約生活が始まる~

お世話係さんたちの優しい声色から、私を安心させようと気遣ってくれているのが伝わってきた。


今日出会った人たちは、みんな優しい人ばかり。


獅堂さんも、司空さんも、冷然さんも、お世話係さんたちも……みんな。


「ありがとうございます……」


こんなにも多くの優しさを向けられたことがなくて、思わず下唇を噛んだ。


そうでもしないと、涙が溢れそうだったから。


嬉しい……。誰かが優しく話しかけてくれることも、微笑んでくれることも、たまらなく嬉しい。


「鈴蘭様?」


私が涙を堪えていることに気づいたのか、心配そうに顔を覗き込んでくるお世話係さん。


私は涙を誤魔化すように、お湯を顔にかけた。


微笑んだ私を見て、お世話係さんたちも安心したように笑っている。