当たり前のように、エレベーターの最上階のボタンを押した夜明さん。


降りたフロアには、まっすぐ長い廊下が続いていて、その突き当たりに扉がひとつだけあった。


もしかして……このフロアに住んでいるのは夜明さんだけ……?


ノワールの級長だとは知っていたけど、級長にはこんな部屋が用意されているなんて……。


夜明さんは、その扉の前で立ち止まった。


「竜牙、今日はもういい」


「しかし……」


「お前も帰って休め」


司空さんは、一瞬悩む仕草を見せたあと、わかりましたと言って頭を下げた。


「鈴蘭様、おやすみなさいませ」


「は、はい……今日はありがとうございましたっ……」


私も同じように深く頭を下げると、笑顔で帰っていった司空さん。