「それより、両親への挨拶はどうだった? 何事もなく入寮できそう?」


「ああ」


「よかった……」


獅堂さんは安心したように、ほっと息を吐いた。


「待っていてくださったんですか?」


私は寝てしまっていたけど、寮を出てから結構な時間が経ったと思う。


「心配だったから」


「あ、ありがとうございます……」


獅堂さん、本当にいい人……。


冷然さんも黙っているけど、ここにいてくれたのは事実で、きっと寡黙なだけで心優しい方なんだろうなと思った。


「じゃあ、今からみんなでご飯食べに行こっか」


「もう頼んである。今日はふたりで過ごすから邪魔をするな」


獅堂さんは夜明さんの返事に、残念そうに肩を落とした。