夜明さん、変に思ったかな……。さっきの、家に入った途端聞こえたお母さんの声。


「あ、の……」


「ん?」


「私の母は……いつも、怒っているわけではなくて……普段は温厚な人なんです」


これ以上心配をかけたくなくて、そう伝えた。


「なので、心配は……」


「わかった」


私の声を遮った夜明さんは、突然私を抱きかかえた。


えっ……!?︎


そのまま私を膝の上に乗せて、うしろから抱きしめてきた夜明さん。


突然のことでニックになり、身動きが取れなくなる。


「夜明さん、あの……」


「わかったから、いつか鈴蘭の口から家族のことを教えてくれ」


あ……。


どこまでわかっているんだろう……。