お母さんや星蘭から、何か聞いてるのかな……。


やっぱり、婚約したくないって思われるかもしれない。


悪い方向にばかり考えてしまう、自分が嫌だ。


「何かご不安ですか?」


助手席から顔を出した司空さんが、私を見て微笑んだ。


「あ……い、いえ」


「何も不安に思われる必要はありませんよ」


え……?


「夜明は、鈴蘭様が思っている以上に……鈴蘭様のことを愛していますから」


夜明さんの従者である司空さんの言葉には、とても説得力を感じた。


だけど、同時にわからなくもなる。


「でも……私には夜明さんにそこまで愛していただく理由はない気がして……」


フードさんとして育んだ時間を考慮しても、ここまでしてもらう理由としては到底足りない。