魔王子さま、ご執心!②~最強王子と、 甘すぎる溺愛婚約生活が始まる~

「あれ……?」


「とぼけなくていい。お前が鈴蘭から奪った“あれ”だ。俺は見たから知っている」


その言葉に、びくりと肩が跳ねた。


やっぱり……あれは、黒闇神様が贈ったものだったんだ……。


「鈴蘭から何を聞いたのかはわかりませんが、なんのことか……」


「同じことを言わせるな」


さっきの嘲笑を消して、冷たい表情であたしを見下ろす黒闇神様。


「俺は“見た”と言っている」


全身が凍りつきそうなほど、冷たくてゾッとする顔だった。


冗談抜きで身の危険を感じて、言葉が詰まる。


見たって……どういうこと?


「お前が奪ったことはわかっている。いいから出せ。さもなくば処分するだけだ。お前をな」


この人が冗談を言っているわけではないと気づいて、足がすくむ。