魔王子さま、ご執心!②~最強王子と、 甘すぎる溺愛婚約生活が始まる~

至近距離にある美しい顔に、思わず見とれてしまう。


黒闇神様も、あたしのことをじっと見ていた。


物語でいうなら、王子様がお姫様に一目惚れをするシーンのような――。


「ふっ」


――え?


まるであたしをあざ笑うかのように、鼻で笑った黒闇神様。


何……?


「……見れば見るほどわからないな。どうしてこんなバカそうな人間に周りの奴らが騙されていたのか。バカの周りにはバカしか集まらなかったということか」


え……?


「これ以上お前の話に耳を傾けていたら気が狂いそうだ」


この人……ッ。


完全に嘘が見抜かれている目。


黒闇神様の目が、あの時の女教師……あたしと鈴蘭の関係を唯一見抜いた女の目と、重なった。


「……ああそうだ、忘れていた。おい、あれを返せ」