【side 星蘭】


「……いいか、今後何があっても、鈴蘭に近づくことは許さないからな」


鈴蘭を連れ、家を訪ねてきた黒闇神様。


部屋を出ていく後ろ姿を見ながら、歯を食いしばった。


鈴蘭……あいつ、全部チクったわね……ッ。


黒闇神様は完全に、鈴蘭が家でどんな扱いを受けているのか知っている様子だった。鈴蘭が話したとしか思えない。


それに……腹立たしくて仕方がないけど、黒闇神様はずいぶん鈴蘭にご執心みたいだった。


ここで……このまま何も言わずに帰したら、本当に黒闇神様を鈴蘭にとられてしまう。


そう思ったあたしは、この世の終わりのような表情で立ち尽くしている両親を置いて、黒闇神様を追いかけた。





「黒闇神様……!」