「黒闇神様、どうか私たちの話を聞いてください……私たちは本心では鈴蘭のことを愛していて――」


「黙れ」


必死に取り繕っていた母親の言葉を、一瞬で遮った。


これ以上こいつらの話を聞いていたら冗談抜きで殺めてしまいそうだ。


「鈴蘭の名前を口にするな」


実の親だろうが関係ない。


鈴蘭を傷つける人間は俺のなかで総じて敵だ。


「お願いします、お話を……」


「……いいか、今後何があっても、鈴蘭に近づくことは許さないからな」


俺はそう吐き捨てて、部屋を出た。


あの場にいるだけで気が狂いそうだった……。


早く、鈴蘭が待つ車内に……。


「黒闇神様……!」


引き止めるように後ろから投げられた甲高い声。


俺は足を止め、ゆっくりと振り返った。