想像するだけで、怒りで自我を保てなくなりそうだった。


「なぜ、これを……やはり、鈴蘭が……」


鈴蘭が? 俺にチクったと?


「何度同じことを言わせれば気がすむんだ? 鈴蘭からは何も聞いていないと言ってるだろ。お前ら人間にはわからないだろうが、能力を行使すれば簡単に調べられる」


なぜ魔族が世界を支配できているのか、考えればわかるだろうに……その能もないらしい。


「しかし、ここまでは……ひっ……!」


あくまで鈴蘭が密告したと言いたいらしい母親の目の前で、火花を散らせて黙らせた。


怒りを鎮めるために息を吐いたが、一層増すばかりでもうどうしようもない。


「人間が魔族の能力を測れるとでも思っているのか?」


俺はバカだった。