魔王子さま、ご執心!②~最強王子と、 甘すぎる溺愛婚約生活が始まる~

「でも……」


「大丈夫だ。何も心配するな」


とにかく用が片付いた以上、一刻も早く鈴蘭をここから出したい。


こんな醜いものはもう……鈴蘭の視界に入れたくなかった。


何より、鈴蘭に感情的になっている姿を見られたくない。


さっき両親への最後の挨拶はさせた。これ以上何も言うことはないだろう。


「鈴蘭様、行きましょう」


鈴蘭はまだ不安そうだが、頷いて竜牙のほうを向いた。


「夜明、どうぞ」


俺に書類を手渡し、鈴蘭を連れて部屋を出ていった竜牙。


俺はそのまま、母親たちにそれを突きつけた。


「読め」


「は、はい」


怯えたように声を震わせて受け取った母親。書類に目を通しているその顔は、みるみるうちに色をなくした。


「これ、は……」