魔王子さま、ご執心!②~最強王子と、 甘すぎる溺愛婚約生活が始まる~

……吐き気がする。


「……ずっとこうして、鈴蘭に嘘をつかせてきたんだろうな」


鈴蘭は自分から嘘をつくような女ではないし、ネックレスの件だって、嘘をつくくらいならもう会わないことを選ぶような女だ。


それなのに、周りを守るためなら簡単に嘘をついてしまう。


こんな鈴蘭を、もう見ていられなかった。


「失礼いたします」


タイミングよく、竜牙が入ってきた。


後ろには使用人もいて、すぐに命令をする。


「家具以外のここにあるものをすべて寮に運んでくれ。竜牙、お前は鈴蘭を車に連れていけ」


「えっ……?」


鈴蘭はどうしてと言いたげな顔で俺を見ていた。


「先に戻っていろ」


できるだけ優しい声色でそう伝えて、鈴蘭の背中を押す。


「俺もすぐに戻る」