魔王子さま、ご執心!②~最強王子と、 甘すぎる溺愛婚約生活が始まる~

これが異常だと気づいていないのは鈴蘭だけだ。


鈴蘭は悪気もなく、母親たちが何を気にしているのかわかっていない様子だった。


「すぐに荷造りをします」


そう言って、片付けようとした鈴蘭。


「待て。必要ない、使用人に頼む。ここにあるものをすべてまとめればいいか?」


鈴蘭に確認したかったのはそれだけだ。仕分けさえしてくれれば使用人にまかせようと思っていたが……仕分けするほどの荷物もないから、もう全部持っていけばいい。


鈴蘭は気を使っているのか、「このくらい自分で……」と言いかけたが、優しく頭を撫でるとそれ以上何も言わなかった。


能力を使って竜牙に合図を送り、使用人を呼ぶ。


そして、鈴蘭をそっと抱き寄せた。