顔に出ていたのか、すぐに鈴蘭にしか向けない笑顔を取り繕う。


「……いや、何もない」


俺が鈴蘭の言葉に気分を悪くするはずがない。


「ただ、お前が愛おしいと思っただけだ」


俺の言葉に、鈴蘭の顔が赤く染まる。


ささいな愛の言葉ひとつでこんな表情をする鈴蘭が愛おしくて、胸がしめつけられた。


鈴蘭はよほど愛に飢えていて、まだ俺の好意を信じ切れない様子だった。


早く……俺の気持ちが伝わるように、努力する。


鈴蘭が安心して過ごせるように……俺は鈴蘭を守り、愛を伝え続けるだけだ。


今まで愛されなかったぶん、いや……それ以上の愛情を鈴蘭だけに捧げたい。





鈴蘭と共に、家に入った。


「やっと帰ってきたわね、鈴蘭……!!︎」