『その双葉鈴蘭という女に、“女神の生まれ変わり”の可能性はないんだな?』


やはり、それを聞くために電話してきたのか。


この人は、そればかりだ。


それだけ女神が脅威だというのはわかるが……祖父は特に女神信者で、女神さえいれば白神家一強の時代を取り戻せると信じている。


俺の父が優秀とは言い難い人で、首相の座を奪われてからというもの、祖父は今まで以上に厳しくなった。


祖父の言葉にため息をつきたくなったが、なんとか飲み込んで返事をする。


「ありません。断言します」


女神かどうか、判明する前に可能性を図るのは難しい。


だが、女神はその名のとおり、心優しく身も心も美しい女性だということだけはわかっていたから、醜い心の持ち主である鈴蘭は、女神ではないと断言できた。