魔王子さま、ご執心!②~最強王子と、 甘すぎる溺愛婚約生活が始まる~

何を被害者面している。


お前はこの俺を騙したんだ。ただの人間の分際で。


「……俺が今日大講堂でした宣言を聞いていなかったのか?」


地を這うような、低い声が響いた。


「は?」


「“鈴蘭への行いは俺への行いと心得よ”。俺はそう言ったはずだ」


恐ろしい表情で、俺を睨みつけた黒闇神。


今まで、俺が煽るようなことを言っても、こいつはいつも表情ひとつ崩さなかった。


まるで俺なんて眼中にないとでも言うかのように。


そんな男が……こんなに感情をむき出しにするなんて。


鈴蘭が黒闇神に取り入ったとばかり思っていたのに……。


俺は初めて、執着しているのは黒闇神のほうだと気づいた。


怖気づいて一歩後ずさってしまった自分に気づいて、ハッとする。