魔王子さま、ご執心!②~最強王子と、 甘すぎる溺愛婚約生活が始まる~

目頭を押さえた時、廊下から浮き足立ったような女の声が聞こえた。


……何?


黒闇神“たち”が……?


黒闇神が来ているのも問題だが、一体誰と……。ああ。鈴蘭か。


鈴蘭は、本日付けでノワールに転級する。


人間は婚約者の魔族側と同じ学級に所属するというルールがあるから、それに従って。


大方、荷物でも取りに来たんだろう……。


わざわざ黒闇神まで連れてくるなんて……見せつけてやろうとしているのか?


立ち上がって、廊下に出る。


文句のひとつでも言ってやらないと気が済まなかった。


進むにつれ、廊下が騒がしくなる。


人だかりを見つけて、俺はそこへ近づいた。


俺の視界に映ったのは……あの男に肩を抱かれて歩いている鈴蘭の姿。


途端、頭に血が駆け上った。