教室の隅からそんな会話が聞こえて、歯を食いしばった。


情けない……黒闇神ごときに怯えて……。


どこもかしこも、婚約の話でもちきりだ。


きっと今頃魔族界隈では大騒ぎになっているだろう。


魔族のなかでも、大きな派閥があって、夜行性と昼行性の魔族は敵対関係にあった。ブランとノワールは、その象徴でもある。


黒闇神側……夜行性側の魔族は、今頃婚約者が決まったことに大喜びしていることだろう。


婚約者はつくらないとあれだけ頑なだった黒闇神が相手を決めたことは、夜行性側にとっては大きな快挙だ。


だが……相手はあいつだ。


きっと黒闇神を失墜させるだけの存在。


鈴蘭は顔だけの女で、なんの役にも……。


中間考査の結果を思い出し、思考が止まる。